条文・判例・学説を体系的に整理
住民訴訟の被告適格
住民訴訟において、市の所有地上で違法に操業する産業廃棄物処理業者を被告として施設の操業差止めを求めることはできない。
怠る事実の違法確認の住民訴訟の被告
地方自治法242条の2第1項3号に基づく怠る事実の違法確認を求める住民訴訟においては、当該怠る事実に係る執行機関又は職員が被告となるから、市が占用料相当額の請求を怠ることの違法確認を市長を被告として求めることができる。
住民監査請求における違法・不当の主張
住民監査請求において住民は当該財務会計上の行為が違法なものであることのみならずそれが不当なものであると主張することもできる。
住民監査請求前置主義
住民は事案の重要性その他の事情によっても住民監査請求をすることなく適法に住民訴訟を提起することはできない。
住民訴訟における違法の主張
住民訴訟において住民は当該財務会計上の行為が違法なものであることのみを主張することができそれが不当なものであると主張することはできない。
住民訴訟の出訴期間
住民は住民監査請求をし監査の結果の通知を受けた場合において一定の期間内でなければ適法に住民訴訟を提起することができない。
住民訴訟の差止請求
住民訴訟における差止請求(地方自治法242条の2第1項1号)は、対象とする行為が処分に当たる場合に限られず、同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為(公金の支出、契約の締結等)について行うことができる。
平成12年12月19日最高裁第三小法廷民集54巻9号2748頁(人骨焼却差止請求事件)
住民訴訟と執行停止
住民訴訟として処分の取消しを求める訴えを適法に提起した場合でも、住民個人の経営する事業が受ける重大な損害を避けることを理由として、行政事件訴訟法25条に基づく執行停止を申し立てることはできない。
昭和53年3月30日最高裁第一小法廷民集32巻2号485頁(愛知県に代位して行う損害賠償)
住民訴訟と財務会計上の行為
住民訴訟として違法確認を求めることができるのは財務会計上の行為に関する怠る事実に限られ、法令に基づく許可申請に対する応答の遅れのように財務会計上の行為に関するものではない不作為については対象とならない。
4号住民訴訟の判決の効力
住民訴訟において損害賠償の請求を命ずる判決が確定した場合には、普通地方公共団体の長は相手方に対して損害賠償金の支払を請求することを義務付けられる。
住民訴訟の一号差止請求
普通地方公共団体の住民は、市長が宗教団体の行事に出席する行為に伴う公金の支出その他の財務会計上の行為について、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、その差止めを求める住民訴訟を提起することができる。
住民訴訟の取消請求と個別利益の不要
住民訴訟として公金の支出を内容とする処分(行政処分たる行為)の取消しを求める場合、住民は、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たるか否かにかかわらず、地方自治法242条の2第1項2号に基づき提起することができる。
土地管理を怠る事実の住民訴訟
普通地方公共団体の住民は、市から町内会に貸し付けた土地上に宗教施設が存在する状態の解消を求めること等の当該土地の管理を怠る事実の違法確認を、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、住民訴訟により求めることができる。
平成22年1月20日最高裁大法廷民集64巻1号1頁(財産管理を怠る事実の違法確認請求事件)
貸付料の支払請求と住民訴訟四号対象外
契約に基づく債務の履行としての貸付料の支払請求は、損害賠償請求又は不当利得返還請求ではないから、地方自治法242条の2第1項4号本文の請求(損害賠償・不当利得返還の請求をすることを求める請求)の対象とならない。
首長への賠償を求める住民訴訟の被告
市長の指揮監督上の過失を理由に市長に対して損害賠償の請求をすることを求める4号請求の住民訴訟においても、被告となるのは、請求権を行使すべき普通地方公共団体の執行機関又は職員(長)であり、市長以外の職員を被告としなければならないものではない。
住民訴訟一号請求の被告
処分がされることが相当の確実さをもって予測される場合、住民は当該処分をする権限を有する職員を被告として、地方自治法242条の2第1項1号の規定に基づき処分の差止めを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
平成3年12月20日最高裁第二小法廷民集45巻9号1503頁(違法支出金補填)
住民訴訟二号請求の被告
処分が既にされた場合、住民は当該普通地方公共団体を被告として、地方自治法242条の2第1項2号の規定に基づき処分の取消しを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
住民訴訟四号請求の被告
処分が既にされた場合、住民は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員を被告として、地方自治法242条の2第1項4号本文の規定に基づき、「当該職員」(財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有する者のほか、その者から権限の委任を受けるなどして当該権限を有するに至った者を含む)に損害賠償の請求をすることを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
平成3年12月20日最高裁第二小法廷民集45巻9号1503頁(違法支出金補填)
一人でできる住民監査請求
住民監査請求は、普通地方公共団体の住民であれば一人でもすることができ、一定の数の他の住民とともにする必要はない(地方自治法242条1項)。
怠る事実を含む住民訴訟の出訴期間
怠る事実があるとして適法な住民監査請求がされた場合の住民訴訟についても、地方自治法242条の2第2項は出訴期間(監査結果等の通知から30日以内など)を定めている。