条文・判例・学説を体系的に整理
都市計画決定の法的拘束力
行政計画に分類される都市計画決定の内容は私人に対して法的拘束力を有することがある。
昭和57年4月22日最高裁第一小法廷民集36巻4号705頁(盛岡広域都市計画用途地域指定無効確認)
通達発令権限
国家行政組織法第14条第2項は、各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができると定めているが、これは通達発令権限を有する行政機関を限定する趣旨ではないから、局長や部長といった内部部局の長も、所掌事務について通達を発することができる。
法の正しい解釈に沿う通達と課税の適法性
非課税の取扱いが長期間続いた後に、法定の課税対象物品に該当する旨の通達が発せられても、通達の内容が法の正しい解釈に合致する以上、通達を機縁としてされた課税処分は法の根拠に基づく処分であり、違法ではない。
昭和33年3月28日最高裁第二小法廷民集12巻4号624頁(物品税課税無効確認並びに納税金返還請求)
通達発出の権限
通達は上級機関が関係下級機関・職員に対してその職務権限の行使を指揮する等のために発するものであり、当該職務権限の行使を規律する法令の中に通達を発することができる旨の規定がなくても、上級機関はこれを発することができる。
昭和43年12月24日最高裁第三小法廷民集22巻13号3147頁(法律解釈指定通達取消請求)
通達と裁判所の拘束
裁判所は、法令の解釈適用に際しては、通達に示された法令の解釈に拘束されない。
昭和43年12月24日最高裁第三小法廷民集22巻13号3147頁(法律解釈指定通達取消請求)
通達に反する措置と平等原則
通達は法規ではないから通達違反それ自体で処分が違法となるものではないが、事務処理の全国的統一のための通達に反する措置は、通達に準拠して行われた他の措置との関係において、平等原則違反を理由に違法と判断される余地がある。
昭和43年12月24日最高裁第三小法廷民集22巻13号3147頁(法律解釈指定通達取消請求)
各省大臣の省令制定権
各省大臣は、主任の行政事務について、法律又は政令の特別の委任に基づくことなく、法律又は政令を施行するための省令を発することができる。
学習指導要領の法規性
告示は必要事項を公示するための形式であるが、文部科学大臣が告示として定める学習指導要領は法規としての性質を有する。
平成2年1月18日最高裁第一小法廷集民159号1頁(伝習館高校事件)
通達の法的性質
各省大臣の発する通達は、所管の諸機関及び職員に対する内部的な命令であるが、国民に対する直接の法的拘束力を有しないため、法規としての性質を有しない。
昭和43年12月24日最高裁第三小法廷民集22巻13号3147頁(法律解釈指定通達取消請求)
通達違反の処分の効力
行政機関が通達に反する処分をした場合でも、当該処分が直ちに無効となるわけではない。
昭和43年12月24日最高裁第三小法廷民集22巻13号3147頁(法律解釈指定通達取消請求)
通達の拘束力の範囲
通達は上級行政庁が下級行政庁に対して発するものであるが、都道府県知事は国の下級行政庁ではないため通達による拘束を受けない。
旧監獄法施行規則と委任の範囲
法律による委任に基づく命令(委任命令)が当該委任の範囲を超えて定められた場合には違法・無効となり、最高裁平成3年7月9日第三小法廷判決は、被勾留者と14歳未満の者との接見を原則として許さず例外的に監獄の長の裁量で許すとしていた旧監獄法施行規則120条(及び124条)について、原審のような限定的な解釈を施したとしてもなお旧監獄法50条の委任の範囲を超えた無効のものであると判断した。
平成3年7月9日最高裁第三小法廷民集45巻6号1049頁(被勾留者接見事件)
児童扶養手当法施行令と委任の逸脱
父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象から除外した児童扶養手当法施行令の規定は、児童扶養手当法による委任の範囲を逸脱したものとして違法無効と判断された。
平成14年1月31日最高裁第一小法廷民集56巻1号246頁(児童扶養手当資格喪失処分取消請求事件)
国家公務員の政治行為規制と人事院規則
国家公務員の政治的行為の禁止について、最高裁は、憲法の規定及び国家公務員法の委任の趣旨を踏まえて、人事院規則の規定を限定的に解釈した。
平成24年12月7日最高裁第二小法廷刑集66巻12号1722頁(世田谷事件)
委任立法の限界
法律の委任の範囲を超える省令は違法であり、行政庁に専門技術的な裁量があるとしても委任の趣旨を逸脱する規制を設けることは許されず、従前違法とされていなかった職業活動の自由を相当程度制約する規制を省令で定めるには、立法過程における議論もしんしゃくした上で、法律の諸規定から授権の趣旨が規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れることを要する。
平成25年1月11日最高裁第二小法廷民集67巻1号1頁(医薬品ネット販売事件)
法律の趣旨の解釈と立法過程の考慮
法律の規定の趣旨を考慮する際には、立法過程における議論を考慮することが許される。
平成25年1月11日最高裁第二小法廷民集67巻1号1頁(医薬品ネット販売事件)
省令の違法と憲法判断
省令が法律の委任の範囲を超えて違法である場合、裁判所は省令の違法を理由に判断し、直ちに憲法違反を判示するものではない。
平成25年1月11日最高裁第二小法廷民集67巻1号1頁(医薬品ネット販売事件)
許可基準を政令で定める委任規定
国民の権利義務に関わる許可の基準を政令で定めるには、法律の委任規定が必要である。
外国刀剣登録規則の文理解釈の委任逸脱
銃砲刀剣類登録規則4条2項が法の委任の範囲を超え無効であるとの主張は、法14条1項の文言上外国刀剣が除外されていないという文理解釈によるのが適切である。
銃刀法登録基準の文理解釈と委任の範囲
最判平2.2.1は、銃砲刀剣類登録規則4条2項が刀剣類の鑑定の基準を日本刀に限っていることについて、法14条1項の文言上は外国刀剣を除外していないとしつつ、鑑定基準には専門技術的な裁量が認められるとして、委任の趣旨を逸脱しないとした。
平成2年2月1日最高裁第一小法廷民集44巻2号369頁(刀剣登録拒否処分取消)