司法試験論文式過去問演習

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2026年 予備試験 論文式 経済法 第1問

問題

配点 50点

[経 済 法]

以下の【設例】を読み、〔設問〕に答えよ。

【設例】

天然資源X(以下「X」という。)から精製される原材料Y(以下「Y」という。)を我が国において製造しているのは A 社と B 社(以下「2社」という。)だけである。国内におけるYの生産量の割合は、A 社が65パーセント程度、B 社は35パーセント程度であり、Yの輸入は輸送コストが高いためされておらず、今後も輸入は難しいと考えられている。Yの元となるXは、2社がそれぞれ保有する土地から取得されているところ、当該土地から取得できるXの潜在的な量はかなり多いが、生産設備の容量に制約があるため、2 社のYの生産能力には一定の限界がある。もっとも、これまでの2社のYの生産実績からすると2社の生産設備には供給余力がある。なお、2社の保有する土地以外で同等に大規模かつ効率的にXを取得できる場所は国内では発見されていない。また、2社は、Yの生産に関する技術の向上のために技術者間の交流を重ねてきた。

Yは製品甲(以下「甲」という。)と製品乙(以下「乙」という。)の主要な原材料となるものであり、それらの生産に不可欠なものである。Yの用途は、現在のところ、甲と乙の原材料として利用すること以外には考えられていない。甲と乙は、その用途を全く異にしており、その需要者も大きく異なっている。甲と乙は、いずれの需要者にとっても、それに代替できる製品は乏しい。また、甲の価格水準は乙の価格水準よりもかなり高い。甲と乙は、共に一定の輸入はあるものの、輸送コストや品質の違いのため、その量は限定されており、今後も増加する見込みは乏しい。

A 社は専ら甲を生産し、B 社は専ら乙を生産している。2社はいずれも他社にYを供給していない。なお、甲の生産設備と乙の生産設備は全く異なっている。また、甲の生産の方が、乙の生産に比較して高額の設備投資と高度な技術が必要である。

甲は、近時、新たな用途が開拓されたなどの事情があるため、需要が着実に増加しており、価格も上昇傾向にある。そのため、国内で甲の生産を開始することを検討する企業が複数現れ、B 社に対してYの供給に関する打診があった。このことを察知した A 社は、B社に対して次のような申入れをした。

「A社とB社は、我が国においてYを安定的に生産する責任を果たしてきました。今後もYの生産を安定させるには、それぞれが従来生産してきた甲と乙の生産及び供給体制も安定させる必要があると考えられます。そこで、次の⑴及び⑵の内容の取決めを行うことが有益だと考えており、御提案させていただきます。

⑴ A社は、乙を生産するB社以外の事業者にYを供給しないものとする。

⑵ B社は、甲を生産するA社以外の事業者にYを供給しないものとする。」

乙は需要が安定しており、現時点で新たに生産することを検討している事業者は存在しない。B社は、この申入れについて次のように考えた。

「自社の乙市場確保という観点からは、現時点でこの取決めをする必要性は乏しい。しかし、この取決めは長期的にはB社の乙市場での地位を安定させることに資する。また、A社からの申入れを受け入れることで、Yの生産に関して A 社と相互に交流してきた関係をより強固なものにできる。それらを勘案すると、B社の将来の事業の安定にとって申入れを受け入れることが有益である。」

以上の考えから、B社はA社の申入れを受け入れ、2社は前記⑴及び⑵と同内容の取決めを内容とする協定を締結した。その後、甲の生産を検討している他社から、B社に対して、Yを購入したいと申入れがあったが、B社はそれを拒否した。

〔設問〕

2社の行為は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律上、どのように評価されるか。

出典:法務省「2026年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。