司法試験論文式過去問演習

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2026年 予備試験 論文式 知的財産法 第1問

問題

配点 50点

[知的財産法]

著名な小説家であるAは、病気で長期入院中、闘病の記録として、日々去来する思いを録音していた。やがて録音が相応の分量になったことから、Aは、看病していた婚約者Bに、録音を闘病記として一まとまりの文章にするよう依頼した。Bは、録音を文字に起こすだけでは趣旨が不明瞭になると考え、A特有の表現を残しつつも、全編にわたりBなりに工夫を凝らして表現を改め、文章(以下「文章①」という。)を完成させた。

Aは、入院中に受けた雑誌のインタビューで、文章①が完成したこと、文章①をそのまま公表することは考えていないが、退院後にこれを小説に書き直して発表する構想を持っていることを発言していた。ところが、Aは、容態が急変して死亡した。Aの権利は、Aの両親であるCらが相続した。

以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、各設問はそれぞれ独立したものであり、相互に関係はないものとする。

〔設問1〕

Bは、文章①に高い文学的価値があると感じており、その完成に寄与した自負もあったことから、Cらに対し、文章①をAの遺作としてBのブログに掲載することを相談した。Cらは、Aの入院中のインタビューでの発言から、Aは文章①をそのまま公表することは認めていなかったとして反対した。しかし、BはCらの反対を受け入れることができず、Cらに対し、Aの一周忌に文章①をBのブログに掲載すると通告した。

Cらは、Bに対し、著作権に基づき、どのような請求をすることが考えられるか。また、これに対するBの反論としてどのような主張が考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。

〔設問2〕

Cらは、文章①を小説として発表するというAの遺志を実現させたいと考え、文章①の完成にBの関与があったことを隠したまま、Aが生前懇意にしていた出版社であるD社の担当編集者に文章①を持ち込み、相談した。担当編集者は、著名な文筆家でありAの親友でもあったEであればAの遺志を実現可能かもしれないと考え、Eに打診した。Eは、入院中のAから文章①をエッセイ風の小説にするという構想を明かされていたことから、文章①の表現を残しつつ補訂を行い、小説形式の文章(以下「文章②」という。)を完成させた。D社は、Cら及びEとの間で、文章②をEの補訂によるAの遺作として出版する旨の契約を締結し、Aの七回忌に合わせて文章②を出版した。

文章②の出版について一切聞かされていなかったBは、これを知り驚き、文章①の完成に寄与した自分がないがしろにされたことに強い憤りを感じた。

Bは、D社に対し、著作権に基づき、どのような請求をすることが考えられるか。また、これに対するD社の反論としてどのような主張が考えられるか。それらの妥当性についても論じなさい。

出典:法務省「2026年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。