2025年 予備試験 論文式 国際関係法(公法系) 第1問
問題
配点 50点[国際関係法(公法系)]
A国とB国は、外交関係に関するウィーン条約(以下「外交関係条約」という。)の当事国である。A国の人種差別禁止法では、人種差別の扇動を犯罪とし、人種差別を扇動した者には拘禁刑を科すこととしている。A国に派遣されていたB国の外交官Xは、退任してB国に帰国し、民間企業で勤務していたが、A国の当局は、Xが在任中にA国内で外交官として行ったスピーチが人種差別の扇動に当たるとして、人種差別禁止法に基づいてXを起訴した。Xが起訴されたとの知らせを聞いたB国の大統領は、「A国の当局がXを起訴することは外交関係条約違反である。」との声明を発表した。
C国とD国は、外交関係条約の当事国である。C国に派遣されていたD国の外交官Yは、C国内において違法な諜報活動を行った容疑でC国の警察官に逮捕された。これに対してD国政府は、C国の警察官によるYの逮捕は国際法違反であるとして抗議したが、C国の外務大臣は、「Yは以前からC国内において違法な諜報活動を行っていたため、Yを逮捕することは国際法上正当化される。」との声明を発表した。
E国は、国際連合(以下「国連」という。)の加盟国であり、また、国連とは別の国際機関であるPの加盟国でもある。E国政府は、国際機関Pにおいて採択されたα条約を批准しようと考え、E国憲法上、条約の締結のために必要となる国会の承認を求めることとした。α条約の締結についての国会審議において、E国の国会議員Zは、「α条約には意味が不明確な規定が含まれているので、批准する前に、当該規定の意味について国際司法裁判所の勧告的意見を要請するように国際機関Pに働きかけるべきではないか。」と質問した。
以上の事実を基に、以下の設問に答えなさい。
〔設問〕
1.B国の大統領が、A国の当局によるXの起訴は外交関係条約違反であるとの声明を発表した根拠として、国際法上どのような主張が考えられるかについて論じなさい。
2.Yの逮捕が国際法上正当化されるとのC国の外務大臣の声明に対して、D国は国際法上どのような反論が可能かについて論じなさい。
3.Zの質問にあるような国際司法裁判所の勧告的意見を国際機関Pが要請するためには、国際法上どのような条件が満たされていなければならないかについて論じなさい。
出典:法務省「2025年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。