2025年 予備試験 論文式 知的財産法 第1問
問題
配点 50点[知的財産法]
ゲーム会社Xは、家庭用ゲーム機の制御方法に係る発明αについて、令和4年2月1日に特許出願し、令和6年4月1日に設定登録を受けた(以下、これによる権利を「本件特許権」という。)。
発明αの内容は、家庭用ゲーム機の制御方法であって、ゲームの進行状態を判定する手段によって、ゲームの進行が所定の状況にあると判定されたときに、当該家庭用ゲーム機に備えられた臭気発生装置が臭気を発生するように当該家庭用ゲーム機を制御するというものであった。また、発明αは、ゲームのユーザーに高度な臨場感を提供するためにゲーム機を制御するという課題を解決するものであった。
ゲーム会社Yは、本件特許権の設定登録後、本件特許権の存在を知らずに、日本国内で使用する家庭用ゲーム機Aを開発し、その販売を開始するとともに、日本国内に所在するサーバーからAにダウンロードして使用するゲームソフトBのオンライン販売をYのウェブサイト上で開始した。
Bは、ゲームの進行が所定の状況になった場合に、Aのコントローラーに備えられた臭気発生装置が臭気を発生するようにAを制御するプログラムを備えている。ユーザーが、AにダウンロードしたBをプレイ中に、ゲームの進行が所定の状況となり、Aのコントローラーに備えられた臭気発生装置から臭気が発生した場合、ユーザーは、発明αを実施したことになる。なお、ユーザーは、Aの設定を変更することで、Aの臭気発生装置の動作を停止させることが可能である。
YがBをオンライン販売していることを知ったXは、Yに対し、発明αの内容を記載した警告書を送付したが、Yは、Bの販売を停止しなかった。そのため、Xは、Yに対し、本件特許権の侵害を理由としてBの販売停止を求める訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起した。
以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、各設問はそれぞれ独立したものであり、相互に関係はないものとする。
〔設問1〕
Xは、本件訴訟において、どのような主張をすることが考えられるか。Yの考えられる反論とXの主張の妥当性についても論じなさい。
〔設問2〕
Yは、本件訴訟が提起された後、ゲーム会社Pが令和3年9月30日に特許出願し、その1年6か月後に出願公開された出願βに係る公開特許公報を発見した。出願βの願書に最初に添付された特許請求の範囲には、発明αの全ての発明特定事項が記載されていた。出願βについては、令和5年10月30日に受けた拒絶査定が確定していた。
Yは、本件訴訟において、どのような主張をすることが考えられるか。その主張の妥当性についても論じなさい。
出典:法務省「2025年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。