司法試験論文式過去問演習

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2024年 予備試験 論文式 倒産法 第1問

問題

配点 50点

[倒 産 法]

次の【事例】について、以下の設問に答えなさい。

なお、解答に当たっては、文中において特定されている日時にかかわらず、令和6年1月1日現在において施行されている法令に基づいて答えなさい。

【事例】

Aは、個人事業として飲食店を経営し、従業員Bを雇用しており、Bの給料は月額30万円で、毎月20日締め、同月25日払いとしていた。しかし、Aは、飲食店の経営が悪化したため、令和5年1月25日支払分以降のBの給料を月額20万円に減らして支払うようになり、毎月の不足額10万円分については、おって支払う旨をBに伝えていた。

Aは、飲食店の経営悪化による収入減を受けて、投機性の高い金融商品取引に関心を寄せるようになり、自らが所有する高級自動車を売却して、その売却代金を元手にFX取引(外国為替証拠金取引)を始めようと考えた。Aは、令和5年8月、当該自動車を500万円で売却し、その売却代金を元手にFX取引を始めたが、徐々に損失が大きくなり、その結果、資産が大幅に減少した。そこで、Aは、複数の消費者金融から借入れをし、その借入金をFX取引に投入したが、損失は膨らむ一方となり、借入金の返済が困難になった。

Aは、令和5年9月20日、同月25日支払分の給料として20万円と予告手当を支払ってBを解雇し、飲食店事業を停止した上、破産手続開始の申立て及び免責許可の申立てを弁護士Cに依頼した。そこで、Cは、同年11月14日、裁判所に対し、Aの代理人として、上記各申立てを行った。これを受けて、裁判所は、同月21日、Aについて破産手続開始の決定をし、破産管財人としてDを選任した。

その後、Dによる調査の過程で、Aの破産手続開始の申立て時の負債として、裁判所に提出された債権者一覧表(債権者名簿を兼ねている。)に記載のもののほか、Eからの借入金200万円の存在が発覚した。Eからの借入金が債権者一覧表に記載されていなかったのは、Aが、破産手続開始の申立てをCに委任する際、友人であるEとの関係が悪化することを恐れて、Cに対し、Eからの借入金があることを説明しなかったからである。

〔設 問〕以下の1から3については、それぞれ独立したものとして解答しなさい。

1.Bは、Dに対し、令和5年1月25日支払分以降の給料の一部(毎月10万円)が支払われておらず、同年9月20日には解雇されて職を失ったため、家族も含めて生活に困窮している旨を訴えた。

Dは、一定程度の破産財団を形成することができ、Bへの未払給料を弁済しても他の優先的な債権者を害することはないと判断し、未払給料全額を配当手続によらずに弁済しようと考えている。

未払給料債権が破産手続においてどのように取り扱われるかについて説明した上で、DがBに対し配当手続によらずに上記弁済をすることが破産法上のいかなる根拠に基づくものであるかについて、その趣旨にも言及しながら説明しなさい。その際、労務提供期間によって弁済の根拠が異なる場合には、場合分けをして説明しなさい。なお、未払賃金の立替払制度については言及しなくてよい。

2.Aの免責不許可事由の有無及びその内容について説明した上で、裁判所はAにつき免責を許可することができるかについて説明しなさい。

3.Aの破産手続は、最後配当が行われて終結したが、下記の①から③までを含む届出破産債権について、配当によっても全額の満足を受けられなかった。Aの免責手続については、免責許可の決定がされ、確定した。

① 飲食店において使用していた食材の未払の仕入代金

② 離婚した元配偶者との間で合意した子の養育費についての破産手続開始前に生じた未払金③ 令和5年10月20日にAが利用したレストランでの高額の飲食費についてのクレジット

カード会社の立替金

⑴ Aについての免責許可決定の確定により上記①の債権はどのように取り扱われることとなるか、免責許可決定の効力を踏まえつつ、説明しなさい。

⑵ 上記②及び③の各債権が非免責債権に該当するかについて説明しなさい。

出典:法務省「2024年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。