司法試験論文式過去問演習

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2024年 予備試験 論文式 労働法 第1問

問題

配点 50点

[労 働 法]

次の事例を読んで、後記の設問に答えなさい。

【事例】

1 Y高等学校を運営する学校法人であるY学園は、教職員がその職務外の活動により学校施設を使用する場合、「学校施設の目的外使用に関する規程」(以下「本件規程」という。)に基づき、使用を希望する日の2週間前までに、学校長宛てに書面による許可申請をし、学校長からの許可を得なければならないこととしていた。しかし、Y学園は、教職員の約30%が加入する労働組合であるX組合が校舎内にある会議室を使用する場合、その直前に管理職である教頭に口頭でその旨を告知すれば、学校運営上の具体的な支障が生じない限り、その使用を認める取扱いを行ってきた。なお、上記の取扱いは、労働協約に基づくものではなく、事実上のものであった。

令和5年4月に新たに学校長に就任したAは、同年10月下旬頃、上記の取扱いによって、X組合だけが、事実上、自由に会議室を使用することができる状態となっていることは、不公平であり、X組合に所属していない教職員の方が多いことを考慮すると、一層問題であるとの認識を持つに至った。そこで、Aは、同月30日、教頭であるBに対し、X組合に所属していない教職員に対する取扱いとの公平を図る観点から、X組合についても、会議室の使用につき本件規程に従った取扱いをするように指示した。

X組合の委員長であり、教諭であるZは、同月31日、Bに対し、同年11月1日午後6時30分から1時間程度、会議室を組合活動に使用したいと申し出たところ、Bは、Zに対し、X組合に所属していない教職員との公平を図る観点から従前の取扱いを改めることになったとして、本件規程に基づいて学校長宛ての書面による許可申請をするよう求めた。Zは、X組合が、当時、Y学園との間で、部活動の顧問を担当する教諭の待遇改善を議題とする団体交渉を行っており、Y学園と主張が激しく対立する状況にあったことや、他に上記日時に会議室の使用を予定している者がいないことを確認していたこと等から、「このタイミングでの取扱いの変更は、Y学園の方針に従わないX組合及びその組合員に対する嫌がらせとしか思えません。我々が会議室を使用することによって、学校運営上の支障が生じない以上、従来どおり、会議室を使用させていただきます。」と述べた。しかし、Bが、Aに相談の上、会議室の出入口を施錠したため、X組合は、上記日時に会議室を使用することができなかった。その後も、X組合は、Y学園に対し、従来どおりの取扱いの継続を求め、書面による許可申請を提出しなかったため、Y学園は、X組合に対し、会議室の使用を拒否する状態が継続した。

2 X組合は、部活動の顧問を担当する教諭の待遇改善を議題とする団体交渉がこう着状態にあったことから、X組合に所属していない教職員にも理解と協力を求めていく必要があるとして、職員室において、上記の待遇改善の必要性を訴えるビラを配布することとした。当該ビラは、上記の内容を片面に印刷したA4サイズの紙1枚であった。Zは、令和6年1月18日の昼休みの時間帯(教職員の休憩時間)に、職員室内において、職員室を訪れている生徒等がいないことを確認した上で、在席している教職員に対しては、「組合の活動報告のビラです。よろしくお願いします。」などと言いながら、上記ビラを手渡し、離席している教職員に対しては、机上に上記ビラを裏返して置くという方法により、上記ビラの配布を行った。Zが上記ビラの配布に要した時間は約10分間であり、昼休みの終了までに配布が完了した。

Aは、Zが職員室内でビラを配布したとの報告を受け、Zに事実確認をしたところ、Zは事実関係を認めた。Aは、Zに対し、許可なく学校施設内においてビラを配布することは認められていないため、Zの行為について、処分を検討せざるを得ないと述べた。

Y学園は、Zからの弁明の聴取等の就業規則所定の手続を経た上で、令和6年3月15日、Zに対し、上記ビラ配布の行為について、就業規則第39条第5号に規定された懲戒事由に該当するとの理由から、戒告とする懲戒処分をした。

【Y学園教職員就業規則(抜粋)】

第39条 教職員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨退職、懲戒解雇に処する。

1~4 (略)

5 許可なく学校の施設・設備を使用し、又は学校施設内において、集会を開き、若しくは放送、掲示、印刷物等の貼付、配布等をしたとき。

6・7 (略)

8 その他前各号に準ずる程度の行為があったとき。

第40条 前条の規定により懲戒を行うときは、当該教職員に対し、事前に弁明の機会を与える。

〔設問〕

1 X組合がY学園による会議室の使用拒否について労働委員会で争う場合、どのような申立てをすることができるか。また、その申立ては認められるか。検討すべき法律上の論点を挙げて論じなさい。なお、X組合は、労働組合法第5条第1項が定める救済申立ての要件を満たしているものとする。

2 Zは、戒告処分が無効であるとして裁判所に訴えを提起した。この戒告処分の有効性について、検討すべき法律上の論点を挙げて、あなたの見解を述べなさい。

出典:法務省「2024年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。