司法試験論文式過去問演習

過去問の答案を投稿・採点

2024年 予備試験 論文式 知的財産法 第1問

問題

配点 50点

[知的財産法]

小説家のAは、ファンタジー小説シリーズαの第1巻から第9巻までを創作し、これらはB社から出版され、好評を博していた。αの各巻はそれぞれ独立した小説であるが、基本的な設定は共通しており、何名かのキャラクターはシリーズを通じて登場している。Aは、αの第10巻の構想を練っている途中で意欲をすっかり失い、執筆をやめてしまった。

B社は、Aが今後執筆を再開する見込みがないと判断し、別の小説家にαの第10巻の執筆を依頼することにした。このため、B社は、Aから、Aが第10巻のために作成していたメモ書き等の資料(以下「本件資料」という。)の提供を受け、その資料を用いて第三者に第10巻を創作させること及びそれをB社が出版することについての許諾を得た。B社は、小説家のCに対して、第10巻となる小説を創作することを依頼し、Cはこれを受けて小説を完成させ、この小説はB社から出版された(以下、この小説を「本件小説」といい、αの第1巻から第9巻までを総じて「αの過去作品」という。)。なお、Cは本件小説の執筆に当たり、B社から提供されたαの過去作品と本件資料を参照したが、Aとは一切連絡を取っていない。

本件小説の主人公やその他のキャラクター数名は、αの過去作品に登場していたキャラクターであり、本件小説の大まかなストーリーの構成は本件資料の記載にのっとったものである。また、本件小説にシリーズで初めて登場するキャラクターのうち、特に重要な1名(以下「本件キャラクター」という。)の生い立ちや性格等の基本的な設定及びセリフの一部は本件資料に示されていたものと同一である。他方、本件キャラクターの名称及び外観上の特徴はCが考え出したものである。

以上の事実関係を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、各設問はそれぞれ独立したものであり、相互に関係はないものとする。

〔設問1〕

Dは、αを題材にしたポスターを多種類作成し、これらを印刷して販売している。これらのポスターの1つ(以下「本件ポスター」という。)には、本件キャラクターをDが視覚的に表現した絵画が用いられるとともに、本件キャラクターの名称とセリフが記載されている。このセリフは、本件資料にみられるセリフと同一のものである。

Cは、Dに対し、本件ポスターの印刷及び販売がCの有する著作権の侵害に当たると主張している。Cの主張の妥当性について論じなさい。

〔設問2〕

本件小説が好評を博したため、B社は、本件小説の外伝として、本件キャラクターを主人公とする新たな小説の執筆をCに依頼し、Cは、これを受けて、小説を完成させた(以下、この小説を「本件外伝」という。)。本件外伝においては、本件小説の基本的な設定はそのままになっており、本件小説においてCが創作した表現が一部に用いられているが、αの過去作品や本件資料にみられる表現は用いられていない。

本件外伝はB社から出版された。Aは、B社に対し、本件外伝の出版がAの有する著作権の侵害に当たると主張している。B社の反論を想定しつつ、Aの主張の妥当性について論じなさい。

出典:法務省「2024年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。