司法試験論文式過去問演習

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2023年 予備試験 論文式 租税法 第1問

問題

配点 50点

[租 税 法]

A社は、毎年4月1日から翌年3月31日までの期間を事業年度とする株式会社である。A社は、平成20年6月1日、甲土地をその時点における時価である1000万円の対価により取得した。

A社は、平成29年頃から、甲土地の売却先を探していたが、適当な相手が見付からず、結局、平成30年6月1日、A社の取締役の一人であるBとの間で甲土地を2000万円で売却する旨の売買契約を締結した。同日、BがA社に売買代金を支払うとともに、A社はBに対して甲土地を引き渡し、所有権移転登記を了した(以下、この取引を「本件売買」という。)。A社は、本件売買時における甲土地の時価が2000万円であるという前提で、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの期間の事業年度(以下「平成31年3月期」という。)に係る法人税の申告・納付をした。

Bは、令和2年4月1日、その子であるCに、甲土地を贈与した。ただし、この贈与には、BのD銀行に対する2500万円の金銭支払債務をCが引き受ける旨の負担が付いていた(以下、この贈与を「本件贈与」という。)。同日、甲土地はBからCに引き渡され、所有権移転登記を了した。なお、本件贈与時における甲土地の時価は、5500万円である。

所轄税務署長Yは、令和2年6月1日、本件売買時における甲土地の時価は3000万円であり、売買代金との差額である1000万円はA社からBに対する役員給与に当たるとして、A社に対して平成31年3月期の法人税の更正処分等をした(以下「本件処分等」という。)。A社は、これに対して、適法な不服申立てを経て訴訟を提起しており、本件売買時における甲土地の時価は2000万円であることを主張している。

Cは、令和4年4月1日、不動産業者に、甲土地を6000万円の対価により譲渡した。

〔設問〕

1 本件売買に関して次の問いに答えなさい。

⑴ 本件売買についてYの認定に従うならば、平成31年3月期において、本件売買によりA社に生じる益金及び損金の額はどうなるか。

⑵ Yが令和2年6月1日に行った「本件処分等」には、平成31年3月期の法人税の更正処分の他に、どのような行政処分が含まれる可能性があるか。ただし、地方法人税及び復興特別所得税は考慮しなくてよい。

2 本件贈与に関して次の問いに答えなさい。

⑴ 本件贈与は、所得税法第60条第1項第1号に規定される「贈与」に当たるか。

⑵ 本件売買時における甲土地の時価が2000万円であることを前提として、本件贈与によって生じるBの所得税の課税関係、及び本件贈与により甲土地を取得したCにとっての甲土地の取得費について説明しなさい。なお、甲土地に関しては、問題文中に記された以外の取得費又は譲渡費用はないものとする。

⑶ 本件売買についてのYの認定を前提として、本件贈与によって生じるBの所得税の課税関係、及び本件贈与により甲土地を取得したCにとっての甲土地の取得費について説明しなさい。なお、甲土地に関しては、問題文中に記された以外の取得費又は譲渡費用はないものとする。

(参照条文) 所得税法施行令

(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲)

第169条 法第59条第1項第2号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)に規定する政令で定める額は、同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額とする。

出典:法務省「2023年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。