司法試験論文式過去問演習

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2023年 予備試験 論文式 経済法 第1問

問題

配点 50点

[経 済 法]

甲製品は特有の機能を有する事務機器であり、甲製品に代替できる製品はない。我が国における甲製品のメーカーとして、A社、B社、C社、D社及びE社の5社(以下「5社」という。)があり、令和4年における各社のシェア(甲製品の国内における総販売額に占める各社の販売額の割合)は、それぞれ、30パーセント、25パーセント、20パーセント、15パーセント、10パーセントとなっている。なお、輸入は事実上行われていない。また、5社は、甲製品事業の振興と共通の利益の増進を目的として、一般社団法人日本甲製品協会(以下「甲製品協会」という。)を設立している。

5社は、それぞれ、甲製品を直接ユーザーに販売している。甲製品の需要の大部分は買換えに伴うものであり、一般に、ユーザーは数年ごとに甲製品を買い換えている。甲製品について、メーカーごとの性能、使用方法等に大きな違いはないことから、ユーザーは買換えに際して異なるメーカーの甲製品を選択することが少なくなく、5社間でユーザーの争奪が活発に行われてきている。

使用済みとなった甲製品については、従来、メーカーがユーザーから無償で引き取り、整備等を行った上で中古品として販売することもあるが、多くは産業廃棄物処理業者に委託して廃棄していたほか、ユーザーが自ら廃棄していた。

ところが、数年前、法令により、使用済みの甲製品(整備等を行った上で中古品として販売されるものを除く。以下同じ。)について、製造販売したメーカーが回収し、再利用が可能な部品等を取り出し、洗浄・検査等を行って、甲製品の部品等としての再利用を可能とすること(以下「リサイクル」という。)が義務付けられ、所要の準備期間を置いて令和5年4月1日から施行されることとなった。リサイクルを義務付ける法令には、リサイクルに要する費用(以下「リサイクル費用」という。)について、メーカーは合理的な範囲でユーザーに負担を求めることができる旨定められている。

リサイクル費用は、回収した使用済みの甲製品から部品等を取り出して再利用が可能となるように処理すること(以下「処理」という。)に要する費用(処理施設を設置・運営する費用を含む。以下「処理費用」という。)と、回収した使用済みの甲製品の処理施設への運送及び再利用される部品等の処理施設から甲製品の製造・修理拠点への運送(以下、合わせて「運送」という。)に要する費用(以下「運送費用」という。)に大別される。また、部品等の再利用による製造費用の節減額はメーカーにより異なっているが、いずれのメーカーにおいても大きなものではない。

使用済みの甲製品のリサイクルが義務付けられるに際し、甲製品協会において専門家を交えて対応を検討した。その結果、各メーカーの甲製品はいずれも日本全国で販売されており、処理施設は運送費用との関係で全国に複数箇所設置する必要があるところ、どのメーカーも単独では効率的な規模の処理施設を設置・運営することはできないことが判明した。このため、甲製品協会は、次の内容の甲製品のリサイクルシステム(以下「本リサイクルシステム」という。)を構築し、実施することを決定し、会員5社に参加を求めた。なお、会員の本リサイクルシステムへの参加義務や会員以外の者(新規参入者を含む。)の利用等に関しては、何ら取り決められていない。

【本リサイクルシステム】

甲製品協会は全国2箇所に処理施設を設置・運営し、メーカーは同施設に使用済みの甲製品の処理を委託する。また、運送は各メーカーが行う。

甲製品協会は、令和5年4月1日から処理施設を運営することとし、処理を受託する対価として、使用済みの甲製品1台当たりの処理費用の実費額(以下「処理単価」という。メーカーごとに金額の違いは設けない。)を決定し、メーカーから徴収する。処理単価は、甲製品のユーザー向け販売価格の10パーセント程度になる。

メーカーは、令和5年4月1日以降、ユーザーから使用済みの甲製品を回収するに当たり、リサイクル費用として、処理単価の1.5倍相当額をユーザーから徴収する。

令和5年4月1日以降、5社は、いずれも本リサイクルシステムに参加しており、同システムは問題なく実施され、5社は、それぞれのユーザーから上記のリサイクル費用を徴収している。また、5社間では、ユーザーの争奪が引き続き活発に行われている。

〔設問〕

甲製品協会による本リサイクルシステムの構築・実施について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律上の問題点を分析して検討しなさい。

出典:法務省「2023年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。