2023年 予備試験 論文式 環境法 第1問
問題
配点 50点[環 境 法]
A社は、長年、B県内にCが所有する甲土地を賃借し、同土地上にカドミウムを含有する排水を排出する(土壌汚染対策法上の)有害物質使用特定施設を伴う乙工場を保有し、これを稼働させていたが、事業の見直しに伴い、乙工場の使用を廃止して解体・撤去した。Dは、甲土地付近の丙土地を所有し、そこに居住し、庭に設置されていた井戸の揚水機によってくみ上げた井戸水を生活用水として利用していた。
なお、以下の問いにおいて、水質汚濁防止法に基づく義務や措置は検討しなくてよい。
〔設問1〕
⑴ 問題文の事例において、A社は、いかなる義務を負うか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。
⑵ 問題文の事例において、B県知事は、A社以外に誰に対して、いかなる措置を採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。
⑶ ⑵の場合において、B県知事からの措置を受けたA社以外の者は、これに対してどのような訴訟を提起することができるか、説明しなさい。
〔設問2〕
問題文の事例において、〔設問1〕でA社が義務を履行した結果、甲土地の広範囲において汚染状態に関する環境省令で定める基準を超えるカドミウムが検出され、その汚染により、人の健康に係る被害が生じるおそれがあるものとして政令が定める基準に該当することが確認された。
⑴ B県知事は、甲土地について、いかなる措置を採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。
⑵ ⑴の措置が採られた後、B県知事は、A社又はCに対して、いかなる場合に、いかなる措置を採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。なお、⑴の措置が採られた後、CとA社は、甲土地の賃貸借契約を解除し、A社は、甲土地をCに返還しているものとする。
⑶ ⑵の場合において、B県知事の措置を受けてA社又はCが講じた実施措置が不十分な場合、B県知事は、A社又はCに対して、いかなる措置を採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。
〔設問3〕
問題文の事例において、Dは、甲土地にカドミウム汚染があり、その影響が丙土地にも及ぶ可能性があることを、新聞報道により知ったとする。この場合において、Dは、A社に対して、どのような法的請求をすることが考えられるか、法的根拠と要件に言及しつつ、簡潔に説明しなさい(損害賠償請求は考えなくてよい。)。
【資料】
○ 土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)(抜粋)
(特定有害物質)
第1条 土壌汚染対策法(以下「法」という。)第2条第1項の政令で定める物質は、次に掲げる物質とする。
一 カドミウム及びその化合物(以下略)
出典:法務省「2023年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。