司法試験論文式過去問演習

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2022年 予備試験 論文式 経済法 第1問

問題

配点 50点

[経 済 法]

X社とY社は、電子部品である甲(以下「甲」という。)を製造販売する日本の会社である。X社は、Y社から甲の製造販売事業の全てを譲り受けることを計画している(以下「本件計画」という。)。

甲は電子機器である乙(以下「乙」という。)の部品であり、乙は日本を含む世界中で販売されている。乙の部品として甲に代わるものはなく、また、乙の部品として用いる以外に甲の用途はない。乙には、据付け型(以下「据付け型乙」という。)とモバイル型(以下「モバイル型乙」という。)がある。甲には、据付け型乙向けの大型のもの(以下「大型甲」という。)と、モバイル型乙向けの小型のもの(以下「小型甲」という。)がある。

大型甲の代わりに小型甲を用いることはできないし、小型甲の代わりに大型甲を用いることもできない。また、大型甲の製造設備を小型甲の製造設備に変更することはできないし、小型甲の製造設備を大型甲の製造設備に変更することもできない。なお、甲の製造販売事業を新たに開始することは困難である。

X社及びY社を含む甲の製造販売業者は世界中に向けて甲を販売できる体制を整えており、日本に所在するものを含む乙の製造販売業者は、必要な大型甲及び小型甲を、それぞれ世界中の甲の製造販売業者から購入している。販売価格に占める輸送費や関税の割合は小さく、大型甲及び小型甲のいずれの取引においても、国ごとの価格差はない。

全世界における大型甲の販売状況(販売額に基づく市場シェア)は、X社が50パーセント、Y社が40パーセント、A社が10パーセントである。近年、据付け型乙の需要は減少傾向にあり、それに伴い大型甲に対する需要も減少傾向にある。大型甲の需要減少がY社の想定以上であることなどから、Y社の大型甲の製造販売部門は大幅な赤字が続いている。今後、本件計画が実現しなければ、近い将来においてY社が大型甲の製造販売事業から撤退する蓋然性は高い。

大型甲の需要減少に伴い、X社及びY社は、大型甲について十分な製造余力を有する。これに対して、A社は、大型甲の製造設備を縮小してきており、大型甲について製造余力を有しない。なお、A社は、本件計画に先立ちY社からなされた、大型甲を含む甲の製造販売事業の全ての譲渡に関する申出を断ったという経緯がある。

全世界における小型甲の販売状況(販売額に基づく市場シェア)は、A社が30パーセント、X社、B社及びC社が各20パーセント、Y社が10パーセントである。据付け型乙とは対照的に、近年、モバイル型乙の需要は増加傾向にあり、それに伴い小型甲に対する需要も増加傾向にある。モバイル型乙及び小型甲をめぐっては技術開発を含む活発な競争が行われており、小型甲の製品サイクルは短い。

X社及びY社が小型甲について十分な製造余力を有しないのに対して、A社、B社及びC社は小型甲について十分な製造余力を有する。モバイル型乙の製造販売業者は、小型甲の製造販売業者に対して取引交渉上の地位が強く、さらに、低価格調達のために発注方法を工夫している。

〔設問〕

本件計画に基づいてX社がY社から甲の製造販売事業の全てを譲り受けることは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第16条第1項に違反するか検討しなさい。

なお、Y社の当該事業は同社の事業の「重要部分」(同項第1号)に該当するものとする。

出典:法務省「2022年司法試験予備試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。