2014年 司法試験 論文式 環境法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
甲県乙市は,青い海とサンゴ礁が美しく観光業が盛んである。乙市在住のAは,同市においてホテル(以下「本件ホテル」という。)を経営し,また,同市を訪れる観光客に対し,業として,体験ダイビングや同市近海のクルージングを実施している。本件ホテルの部屋の海側の窓から見える景色は絶景であると評判であり,多くの観光客をひきつけてきた。乙市には国定公園(以下「本件国定公園」という。)が存在し,同公園内には特別地域のほか,サンゴ礁が多数見られる海域に海域公園地区の区域が存在する。Aは乙市内での環境保護活動を行うためにNPO法人Bを設立し,Bは公園管理団体の指定を受けている。
その後,観光業を営むCが,本件国定公園の特別地域内に,適法な許可を得て新たに5階建てのリゾート施設の建設工事を開始した。甲県知事の許可に際し,工事の施工に当たって汚濁防止膜を設置する等の措置を講じて周辺水域に赤土を流出させないことが条件とされていた。しかし,Cの工事の施工は上記許可条件に反するずさんな対応にとどまり,その結果,工事に伴う赤土の流出によりサンゴが既に一部死滅したほか,残るサンゴについても今後の更なる工事の進行により死滅が懸念される状況にある。Cの工事開始に伴い本件国定公園を訪れる観光客の減少が見られ,Aの売上げも減少している。また,Aは,同施設の建設により本件ホテルの部屋の海側の窓から景色が全く見えなくなることも心配している。
〔設問1〕
Aは,C及び甲県に対してどのような法的手段をとることが考えられるか。
〔設問2〕
本件国定公園内に風景が美しい土地を所有しているDは,自己の土地の風景を長く保存したいと考え,NPO法人Bに相談に来た。Dの要望に応えるために,Bは法律上のどのような制度を活用できるか。その制度が法律上規定されていることの意味はどこにあるか。
〔設問3〕
乙市の対岸にある甲県丙町には国立公園が存在し,その中のサンゴ礁が美しい海域は海域公園地区に指定されているが,そこでは,乙市とは逆に観光客が増大し,観光船の無秩序なクルージング,水上バイクの頻繁な走行,一部のマナーの悪いダイバーの行為により,サンゴの損傷その他野生生物への影響が問題となっている。かかる行為を規制するために,環境大臣は行政上の措置を講ずることを検討している。どのような措置が考えられるか。制度の趣旨を踏まえて論ぜよ。
出典:法務省「2014年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。