2010年 司法試験 論文式 環境法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
A市に居住しているB(45歳)は,数年前にぜん息を発症し,その後症状が悪化してきている。
Bの居宅から10メートル離れたところにはC鉄鋼会社(以下「C社」という。)の工場があり,このC社の操業に伴うばいじん,窒素酸化物(政令により,大気汚染防止法第2条第1項第3号の「ばい煙」に指定されている。)等の排出が認められる。Bの居宅及びC社の工場は,同法に基づく窒素酸化物に係る総量規制の「指定地域」内にあり,C社の工場は「特定工場等」に当たる(同法第5条の2第1項)。
また,Bの居宅から30メートル離れたところには,高架式で設置されているD高速道路株式会社(以下「D社」という。)の高速道路があり,この高速道路を走行する自動車から窒素酸化物,粒子状物質(共に,政令により,同法第2条第14項の「自動車排出ガス」に指定されている。)が排出されている。
Bの居宅を含む地域では,現在も二酸化窒素,浮遊粒子状物質は,環境基準値を超えており,この地域には,B以外にも,多くの呼吸器系疾患に罹患した人々がいる。
〔設問1〕
Bは,自分がぜん息にかかったのは,居宅周辺の工場,道路からの大気汚染物質の排出が原因であると考え,C社及びD社を被告として損害賠償を求めて訴訟を提起した。この場合における法律上の問題点について論ぜよ。なお,問題文中に記載した以外の政令については,考慮する必要はない。
〔設問2〕
二酸化窒素の環境基準値については,厳しすぎるという科学的知見が蓄積されてきたことから,基準値が緩和されたとする。この措置に不満なBは,その直後に取消訴訟を提起できるか。原告Bの主張と被告の反論について論ぜよ。なお,原告適格については触れなくてよい。
出典:法務省「2010年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。