2008年 司法試験 論文式 知的財産法 第2問
問題
配点 50点〔第2問〕(配点:50)
以下の事実関係を前提として,後記の設問に答えよ。
【事実関係】
北国のA市で生まれ育った甲は,子供のころから小説家になることを夢見て,中学生及び高校生の時に計30編の小説を執筆し,文学に関心を持つ友人と一緒に作成していた同人誌に掲載した。当該同人誌は,中学校及び高校のクラスメートに無料で配布された。甲は,高校卒業後,上京して作家となり,多くの有名な小説を発表した。
甲がA市に住んでいたころに書いた小説は世間から注目されていなかったが,甲のファンである乙は,多大の労力と時間を掛けて,それらの小説が掲載された同人誌を収集した。そして,乙は,それらの小説の中から,甲の文学的才能を示すものと評価した15編の小説を選び,その選んだ小説を,甲が作家になった後に執筆した各小説との関連性の観点から分類して収録した「A市時代の甲小説集」を作成し,出版した(以下「乙書籍」といい,これに収録された15編の小説を「乙書籍収録小説」という。)。もっとも,乙は,乙書籍収録小説について,甲が執筆したそのままの形で乙書籍に収録したのではなく,誤記と思われる数か所の送り仮名を変更し,また,今では余り用いられず多くの人にとって意味が分からなくなった数個の言葉を同様の意味を有する現代語に入れ替えた。
丙は,乙書籍を読んで,乙書籍収録小説に感銘を受けたが,甲が若いころから有していた文学的才能を明らかにするには,乙書籍の並べ方は適当ではないと思い,乙書籍収録小説を並び替えて収録した「甲青少年期作品集」を作成し,出版した(以下「丙書籍」という。)。丙は,乙書籍における乙書籍収録小説をそのまま丙書籍に収録したが,乙が乙書籍収録小説に変更等を施したことは知らなかった。
A市立図書館は,乙書籍及び丙書籍を購入し,それらをA市民に貸し出している。
〔設 問〕
1. 甲は,乙に対して,どのような請求をすることができるか。
2. 甲は,丙に対して,どのような請求をすることができるか。
3. 甲は,A市に対して,どのような請求をすることができるか。
4. 乙は,丙に対して,どのような請求をすることができるか。
出典:法務省「2008年司法試験論文式試験問題」。原本PDFから本文・表・図を抽出し、字下げ・下線・枠などの体裁を保ったまま、画面の幅に合わせて折り返しています。