司法試験短答式過去問演習

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2023年 司法試験予備試験 一般教養

45問中20問選択(1問3点・60点満点)

第12問配点 3点

以下の文章は、哲学者・思想家たちの「愛」に関する説明である。この説明の中で明確な誤りを含んでいるものを、次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は、[№12])
1. 仏陀(ゴータマ)は、「慈悲」としての愛を唱えた。これは、一切衆生、すなわち、全ての人間に対する無差別・平等の愛である。「慈」とは、慈しみであり、他者に楽しみを与えることを、「悲」とは、憐みであり、他者の苦しみを取り除くことを意味する。縁起の法の下に生きるのは人間のみであり、我執や物欲を捨て、分け隔てなく全ての人間を愛することを仏陀は説いた。
2. 孔子は、「仁」としての愛を唱えた。これは、血縁的な家族関係において生まれる人間の自然な感情を基本とする愛である。その中心となるのは、親への親愛の心である「孝」と、兄や年長者への恭順の心である「悌」であるが、このような自然な愛情を、血の濃い者から薄い者へ、更に血縁関係のない者へというように一般的な人間関係へと広げていくのが「仁」の実践であると孔子は考えた。
3. プラトンは、「エロース」としての愛を唱えた。これは正しく美しく善なるものの価値を求めて上昇する愛である。地上において肉体の牢獄に囚われている人間は、魂の本来の場所であるイデアの世界で見た完全なイデアを想起し憧れる。この愛は、情欲的な愛ではなく、肉体から魂へと浄化された精神的な愛である。「プラトニック・ラブ」という言葉はここから来ている。
4. アリストテレスは、「フィリア」としての愛を唱えた。これは、「友愛」と訳すことができるもので、アリストテレスによれば、人々を結び付け、ポリスを成立させるのに不可欠な原理の一つとされる。「友愛」は一方通行ではなく、相互性を持つものであるが、その動機によって三種類に区分され、有用性や快楽の動機ではなく、互いの徳に基づいて付き合う卓越性における友愛が、真の友愛であるとされる。
5. イエスは、「アガペー」としての愛を唱えた。これは神が分け隔てなく全ての人に注ぐ無償の愛である。神は、相手が善い者だからという理由で愛するのではなく、たとえ犯罪者であろうが敵であろうが全ての人を愛するのである。イエスは、「心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛しなさい」と説く一方で、「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」という隣人愛も説いた。