第9問配点 3点
「労働」は近代以降,人間や社会を考察する上で重要な概念となった。近現代の思想家による労働に関する考えを述べた記述として最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№9])
1. 労働による生産活動を,歴史や社会を形成する土台となるものと見たマルクスは,資本主義社会における資本家と労働者の階級対立を克服すべく,相互扶助的な協同組合運動に基礎を置く独自の社会主義社会を構想した。
2. 労働の形態を,生活を維持するための基盤となる根本的な活動として捉えていたアーレントは,このような労働の中に,人々が自由に議論できる公共的な政治空間を形成する役割を見出した。
3. 労働による生産を,国民の富の源泉と捉え,一人一人の自由な経済活動が,社会の発展をもたらすとしたアダム・スミスは,重商主義政策を推し進めることで,分業体制が整えられ,国民の富も増大すると説いた。
4. 労働を,人間が生まれつき持っている自然権の一つと捉えたロックは,労働から得た所産も各人の所有物であり,国家といえども本人の同意なしにこれを奪うことはできないとした。
5. 労働を,人間が互いの欲求を満たすシステムである市民社会の根幹に置いたヘーゲルは,この社会がもたらす欠乏と貧困を,労働による自由な経済活動を推進することで解決することができると説いた。