第5問配点 3点
A.ウェーバーの工業立地論は,工業製品の生産から販売までの主要な生産費用を分析し,工業を特定の地点に立地指向させる因子を論じた,立地論における古典的業績である。そこでは,工業立地を決定する因子として,①輸送費,②労働費,③集積のメリット・デメリット,以上3つが挙げられている。その中でも,ウェーバーは,輸送費を最も重視し,輸送される原材料や製品の重量と距離が輸送費を決定するとした。その上で,安価な労働力を求めて立地点が変化するとしている。しかしながら,現実的には,重視される因子は工業の種類によって異なっており,また,同じ種類の工業においても時代や地域の性格によって異なっている。以上の文章を踏まえて,立地に関する記述として明らかな誤りを含んでいるものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№5])
1. 日本におけるビール醸造業は,どの場所でも入手しやすい水を主たる原料とするため,市場に近接して立地する傾向がある。
2. 鉄鋼業の主原料は,石炭と鉄鉱石であるが,原料の重量が製品の重量を上回るため,原料供給地に立地する傾向が強かった。
3. 近年のバングラデシュなどにおける縫製工場の立地は,一定量の安価な労働力が確保できるという条件による。
4. アルミニウム生産は原料のボーキサイトの他に電解電力を必要とする。そのため,ボーキサイトの産出がほとんどない,カナダやノルウェーにも立地している。
5. セメント産業の主原料は石灰岩であるが,石灰岩の単位重量当たりの輸送費が安価なため,主要な消費地に近接する大都市近郊に立地する傾向にある。