第6問配点 3点
次の【説明】を参考に,AからDまでの和歌を旅の順に並べたものとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№6])
【説 明】
和歌と聞くと,「枕詞」「序詞」「掛詞」「縁語」といった難しい表現技法を思い浮かべる人も多いだろう。確かに,「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」や「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに」のように,人口に膾炙(かいしゃ)した技巧的な歌もあるが,『万葉集』の「東歌」や「防人歌」のように,素朴で率直な感情を詠んだ歌も少なくない。思うに,技巧的な歌を詠むことは都人の矜持(きょうじ)のようなもので,都を遠く離れてしまえば,たとえ貴族であっても技巧に捕らわれる必要はないのかもしれない。『伊勢物語』の第 9 段「東下り」を見てみよう。憧れの高貴な女性を手に入れることに失敗した男は,失意のうちに都を去り,東国へと旅立っていく。男に同行する者は,友人が数名のみである。案内人もなく,道も分からず,過酷な旅である。都を追われた男は,もはや貴族ではない。心に思い浮かぶのは,都に残してきた愛する女性の姿である。あの人は,まだ私のことを思ってくれているだろうか。男はひたすら東へと旅を続け,ついには武蔵の国にたどり着く。道中,男は 4 首の和歌を詠んでいるが,都を遠ざかるにつれて,歌の詠みぶりは大きく変化し,次第に技巧を離れ,直情的な表現に近づいていく。
A. 時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ
B. から衣着つつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
C. 名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
D. 駿河なる宇津の山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり
1. B→A→D→C
2. B→D→A→C
3. C→B→A→D
4. D→B→C→A
5. D→C→B→A